2020年7月22日の梅雨明けきらないジメジメとした日本列島に、衝撃のニュースが入ってきました。
歴史が変わるかもしれない高速道路120キロ化について徹底解説していきます。
では、早速紹介していきます。
高速道路120km化解禁、実施区間は?
警視庁によると、高速道路における最高速度を時速100キロと定めている現行の基準を改正し、120キロ化するとのことです。
1963年の名神高速開通以降の半世紀以上に渡って「ドライバーの常識」であった、高速道路の制限速度は最高でも100キロという基準が、大きく変わることになるのです。
長い間、100キロのままだったんだ。
120キロ化される道路の条件や、実際に適用される可能性が高い区間も明らかになっています。
まず条件として、
- 道路自体が120キロ設計
- 実際の走行車両が出しているスピードが平均100キロ以上
- 大型貨物車両の台数がそこまで多くない、渋滞が少ないといった安全上の支障がない
ことなどが挙げられています。
そもそも、実際に走っている車の平均速度が100キロ以上超えているってことを把握してたんだ!(笑)
法律上では100キロ制限ですが、それ以上のスピードで飛ばす車はうじゃうじゃいる現状です。
そして、今後120キロ化されることが確定、可能性が高い区間が以下となっています。
- 東北道(関東エリア):浦和TB~佐野SA
- 東北道(岩手エリア):花巻南IC~盛岡南IC
- 常盤堂:柏IC~水戸IC
- 東関東道:千葉北JCT~成田IC
- 新東名:静岡区間のほぼ全線
新東名や東北道は既に120キロになっているのでは?
- 新東名の「静岡インター」から「森掛川インター」間
- 東北道の「花巻南インター」から「盛岡南インター」間
までの区間は、現在でも最高速度が120キロに設定されているのですが、これはあくまでも実際の効果や安全性を検証するための「試行」であって、道路交通法の文言にはない、特例として認められているだけなのです。
要するにお試しであって、完全に解禁していたわけじゃなかったのね。
なので今回の件は、すでに最高速度が120キロになっている区間にも関係しているのです。
新東名に関しては早ければ今年度中、その他の区間も大きな問題がなければ数年以内には実現する見通しとなっています。
割と早めに実現しそうだね。
以上が今回の話の概要になりますが、ここからはニュースではあまり触れないような内容を徹底解説していきます。
なぜ120キロ解禁はこのタイミング?
何故このタイミングで、120キロというスピードが正式に解禁されることになったのでしょうか?
そもそも高速道路の最高速度は、実勢速度ではなく道路構造などの外部的要因から決定されてきたという経緯があり、警察庁も以前は制限速度の見直しに否定的な立場をとっていました。
といっても、日本全国には120キロ対応で設計された高速道路が複数存在する事や、実際に多くの車が100キロを超えるスピードで走行しているというのも事実です。
そんな状況を変える中心的な存在となったのが、岐阜5区選出の衆議院議員である古屋圭司氏でした。
古屋氏は2012年から国家公安委員会の委員長を務めていたのですが、その際に高速道路の120キロ対応設計が活かされていないことを問題視し、制限速度向上の為に動いていた人物です。
というのも、「高速道路において120キロ対応の設備が活かされていないという事は、通行料を支払っている利用者は速達性を享受できておらず問題である」という考え方を持たれているようで、実際に委員長時代に新東名と東北道を試験的に110キロ化、その後は120キロにする実証実験を行いました。
結果として速度向上が要因と思われる事故の増加もなく、制限速度の向上は合理的であるとの判断がくだされたわけです。
更に、警察庁が試行時に行った調査で、実際の車両が出している速度である「実勢速度」の検証が行われました。
東北道では、従来の実勢速度が、
- 上り112.0キロ/下り114.2キロ
試行後は、
- 111.9キロ/下り114.3キロ
と大差はなく、新東名においても同じようなデータが集められました。
そもそもの平均スピードが速すぎますね(笑)
とにかくこれらの調査において、現行の100キロという最高速度は実情に見合っていない事、低速で走る事こそが安全であるという考え方は間違っていたものの、絶対ではないことが判明したわけです。
確かに皆速度を飛ばしていたのに、オービスが見えたら揃いも揃って減速するなんてことがよくあるものね。
120キロ化実現で問題視されるのは?
世間の声では、
- 120キロ化は実情に見合っている
- 3車線以上の道は積極的に120キロに変更してい欲しい
など、肯定的な意見が多いようです。
一方で、
- 最高速度が80キロに制限されている大型貨物車両との速度差
- ドライバーのマナー
といった面での懸念の声もあるようです。
たしかに40キロの差は大きいかも。
そもそも道路の設計速度は「すべての車両が安全に走行できるスピード」に設定されていて、この原則で言うと、大型車両の80キロ制限の意義にも疑問が残ります。
昔の大型車はリミッターもなかったし、正直ちぐはぐな気もするね。
さらにドライバーのマナー問題があります。
速度が向上することによって、
- 雨天時におけるスリップの危険性などの知識的な事
- 追越車線への居座りによる渋滞増加と言った常識的な事
など、速度が向上することによって起きる、ドライバーが気を付けなければいけないポイントも増加することになります。
追越車線への居座りは渋滞の原因にもなるし、警察はもっと通行帯違反の取り締まりを強化して欲しい、というのが個人的な感想です。
ちなみに外国では、追越車線への居座りに対する取しましまりは結構厳しいみたいです。
120キロという速度は諸外国と比較しても標準的な速度であり、実際に施行において大きな問題が発見されなかったことからも、特段の懸念点があるわけでは無さそうです。
ドイツのアウトバーンは速度無制限だが事故率が低い?
ご存知の通り、ドイツの高速道路であるアウトバーンは、歴史的に「速度無制限」の区間が多く存在しており、かなり速い速度で車が走り抜けていっています。
しかし、アウトバーンにおける事故発生率は、速度無制限というポイントがあるにも関わらず、国際的にも低い値となっているという特徴があるのです。
これは、
- 山岳区間の少なさ
- 道路の広さ
- 保守レベルの高さ
- 地元民の運転マナーレベルの高さ
が、大きく関係していると言われています。
アウトバーンでは追い越し車線に居座っていたら、後続車から200キロオーバーの車に煽られるという、恐ろしい経験をすることになるみたいです。(笑)
世界の最高速度
世界の最高速度はこんな感じで、110キロから130キロ当たりがボリュームゾーンって感じになっています。
逆に言えば、日本の110キロという制限速度がどれほど厳しいものだったかが伺いしれますね。
日本の高速道路は地形的な問題や暫定二車線とかもあり、中々スピードを上げることが出来なかったりします。
120キロ化が検討されている区間は?
実は今回120キロ化が発表された場所は関東と東北がほとんどであり、西日本エリアに関しては特に触れられなかったのです。
現在開通している日本の高速道路において、120キロ対応している区間は以下の通りです。
- 道央道:登別室蘭~札幌南、札幌~岩見沢
- 東北道:平泉前沢~盛岡南、浦和料金所~佐野藤岡
- 常盤堂:三郷料金所~日立南太田
- 関越道:川越~渋川伊香保
- 東関東道:千葉北~佐原香取
- 新空港道:成田JCT~新空港
- 中央道:三鷹料金所~八王子
- 東名高速:横浜町田~秦野中井、岡崎~小牧
- 新東名:全線
- 名神高速:小牧~養老、彦根~蒲生、栗東~大津
- 新名神:全線
- 北陸道:木之本~長浜
- 九州道:大宰府~久留米
こう見ると、今回120キロ化が検討されている区間は、対応している場所の中でも本当に一部だけなんだ。
なぜ、これだけ対応している区間があるのに一部区間しか話が上がってこなかったのでしょうか?
まず、今回の検討区間は、六車線以上で整備されている所を重点的に選んだという事で、実際に東北道岩手エリア以外に関しては六車線で整備されている場所となっています。
新名神は、スペック的に考えれば速度向上が最も容易な路線なんでしょうが、残念ながら暫定四車線の区間が多い事から、今回に関しては対象外となってしまったみたいです。
とはいえ、今後120キロ化が図られた結果、大きな問題がないのであれば残りの区間の最高速度向上も図られるのではないでしょうか。
ただ名神や東名など、交通量が多い場所に関しては安全性の面もあり、一番後回しにはなりそうですね。
120キロ化が拡大するかどうかは、これからの状況次第ってことなんだね!
まとめ
最高速度向上には懸念点があるものの、トータルで見ればメリットが大きそうな施策ではあります。
オービスや覆面による取り締まりを気にすることなく、快適に高速道路を利用する事も出来ますもんね。
ただ速度が上がれば危険性ももちろん増加するわけで、その辺りの懸念点はドライバー自身がしっかりと自覚をして、セーフティードライブを意識していく必要がありそうですね。
安全性が認められれば対応区間もどんどん広がっていくでしょうし、より便利に使っていくことがきそうですね。
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