2020年8月2日に、東北地方の東北中央自動車道に新たな道が開通しました。
実は、東北中央自動車道の変わった道であることはご存知でしょうか?
なぜか変わっているのかを徹底的に記述していきたいと思います。
まずは、新規開通区間からの紹介です。
伊達桑折インターから桑折ジャンクション間が開通!
東北中央自動車道の一区間の伊達桑折インターから桑折ジャンクション間の2キロほどの区間が開通したのです。
たった2キロだけなんだ!
距離は短いですが、この区間の開通で東北道と国道4号線がつながるほか、東北中央道の相馬方面がはじめて東北道と繋がることになりました。
ということで、今回は記念すべき開通に合わせて、沿線の方以外にはまだあまり知られていないであろう東北第三の高速道路と東北中央道に紹介していきます。
東北中央道は途切れ途切れ!
東北中央自動車道は、福島県相馬市の「相馬インター」から、秋田県横手市の「横手インター」までを結ぶ、全長約260キロの高速道路です。
260キロって結構長いね!
福島の横浜通りから秋田の内陸部までを結んでいるので長いのです。
まずはさらっとこの道の概要を話していきます。
常盤自動車道と接続する起点の相馬インターを出ると道路は西進し、山岳部を抜けて中央通り方面に向かっていきます。
高速道路と繋がっているのにジャンクションじゃないんだ!
伊達市にある「霊山インター」で一度路線は途切れると、次に再開するのが今回開通する「伊達桑折インター」です。
伊達桑折インターから桑折ジャンクションまでの区間を通った後、福島ジャンクションまでは東北自動車道との重複区間となります。
重複ってケチらないで新しく造ればよかったのでは?
この辺りは西側は険しい山岳地帯となっていて、コストがかなりかかってしまう事からこのような形になったみたいですよ。
約8キロ程の重複区間を終えると、「福島ジャンクション」にて東北道から分かれ、山形県方面を目指していきます。
万世帯路と並行して山岳地帯を進み、栗子トンネルにて山を越えると、米沢牛で有名な山形県米沢市に入ります。
万世帯路は明治時代に造られた道で、その立派さから明治天皇自らが付けられた名前みたいよ!
因みにこの辺りは東北中央道や万世帯路の他、山形新幹線なんかが通っているんですが、現在でも坂やカーブが多い難所となっています。
東北自動車道の栗子トンネルも日本で5番目の長さとなっていて、東北地方では最長となっています。
そして米沢に入った東北中央道は進路を西から北に変え、山形市方面を目指していきます。
この区間の沿道は、赤湯温泉や上山温泉に代表されるような、山形の有名な温泉地帯にもなっています。
山形市に入って、郊外にある「山形ジャンクション」にて山形道と接続した後も、路線は尚、北に向かって進み続けます。
将棋の駒づくりで有名な天童市を通り抜け、「おいしい山形空港」や「さくらんぼ東根駅」など、奇怪な名前の交通施設が複数ある東根市の「東根北インター」にて路線は再び途切れます。
インターの名前は普通なんだ!(笑)
果物王国と銘打ってPRしている自治体ですし、折角なら変わった名前を付けてみるのもネタ的に面白いんではと思います。
実際にさくらんぼ以外にもリンゴやブドウ、洋ナシなんかが有名と言われています。
途切れた本線は隣の村山市にある「大石田村山インター」から再開します。
スイカの名産地として知られる尾花沢を抜け、古くから城下町や宿場町として栄えてきた新庄市に入り、仮設インターである「新庄北インター」にて再び路線は途切れます。
鳴子温泉なんかは新庄からも行きやすいよね!
続いては山超え区間である金山町や真室川町にまたがる、約10キロ程の区間で、これも両端が仮設インターとなっており、現状は山越えの為に整備されたという形となっています。
県境区間は未開通のまま秋田県湯沢市に入り、雄勝こまちインターから道路は再開します。
ただ、院内地区の一部区間がバイパスとして整備されており、こちらは短いですが共用されています。
湯沢市は小野小町誕生の地を「自称」しているらしい(笑)
そして横手市に入り、秋田自動車道と接続する「横手ジャンクション」を通って、その先にある「横手インター」にて終点となっています。
横手はかまくらで有名な他、納豆誕生の地という伝説があることでも知られています。
東北中央自動車道の道の説明はここまでで、この道の変態っぷりについて記述していきます。
東北中央道の整備の兆しが!
先ほどの概要説明でも感じて頂けたかと思いますが、この道は長い割に途切れ途切れで、一本の道路としてはかなり使いづらくなっています。
これなら、並行している東北自動車道の方が便利じゃない?
しかしこの道は1984年に「東北中央縦貫自動車道」として、相馬から横手間が構想されたのが始まりとなっており、一体的な整備を念頭に置いた計画となっていました。
え?ではなぜ今みたいな形になっているの?
予算や用地買収など、インフラ整備にはありがちな深い事情によって、途切れ途切れの整備となってしまっているんです。
現在の東北中央道の区間が初めて開通したのは、1994年の湯澤横手道路として「横手インター」から「十文字インター」間となっており、それから26年が経った現在でも、まだまだ開通していない区間が多くなっています。
中々進まない道路建設ですが、状況が大きく変わる出来事が起きたのです。
それが東日本大震災からの復興事業で、東北地方を中心とした経済対策投資によって、東北中央道の事業化に目途が立っていなかった区間に整備の方針が示されました。
まずは福島県内の相馬から桑折までの区間が整備対象に、その後別途で山形から秋田にかけての未整備区間の調査が開始され、2018年には全区間が事業化されることになりました。
ここまでなんて長かったんだ!
三陸道や釜石道のような、完全な復興道路という訳では無いですが、震災の前と後では大きく運命が変わった道であることには違いないのです。
でもそういう大きなきっかけがないと整備がグダグダのままだったって事もあるよね。
まぁこれだけでもだいぶ変わった、まさに変態ロードであることはお分かりいただけたかなと思います。
しかし、東北中央自動車道にはヤバイ要素があるのです。
東北中央道の有料区間と無料区間はどこまで?
東北中自動車道の変わった特徴の1つとして、無料と有料が入り乱れまくっている事が挙げられます。
これは、東北中央道の長い歴史と、その間の政治的な動きによって生じてしまった「わかりにくさ」となっています。
新直轄方式が理由で変わった料金形態に!
新直轄方式は高速道路三社民営化の流れによってできた制度で、主に地方部などの採算が厳しいエリアの新規高速道路に関しては、道路整備の財源を高速道路会社ではなく、国や地方自治体が出すことにした制度です。
この制度は税金で整備されるため交通量は無料であり、利用者にとっては嬉しい事でもあります。
しかしこの制度が始まったのは2003年の事であり、東北中央道の中途半端な整備状態から、有料と無料が混在することになってしまいました。
具体的には
- 相馬から霊山までが無料
- 伊達桑折から福島料金所までが有料
- 福島料金所から米沢北までが無料
- 米沢北から東根までが有料
- 東根から東根北までが無料
- 大石田村山から先の各跡切れ区間は無料
- 湯沢から横手までが有料
と、なっています。
栗子トンネルは無料なんだ!
無料区間は交通量も多く、特に栗子トンネルに関しては並行する国道13号線が度々通行止めになることがあるため、迂回路かつ新しく使いやすい道として、かなり重宝されているみたいです。
ただ問題なのが有料区間です。
無料区間が終わると一気に交通量が減り、東北道の並行路として、各都市を繋ぐ高速道路としての役割がしっかり果たされているかと言えば、怪しい状態となってしまっています。
お金の問題は難しいね。でも通行料を払ってでも快適な高速道路を使いたいっていうニーズはあるでしょ?
この道に限っては、それも難しいかもしれません。
それは、全区間が暫定二車線だからです。
暫定2車線であることから平均速度が遅く、尚且つ高い料金を取られ、道路はと途切れ途切れとなれば、利用者が伸びないのも致し方ないと言えるでしょうね。
しかしながら最近は割とハイペースで開通区間が伸びており、現在のところ2025年度には計画されているすべての区間が開通する予定となっています。
とはいえ、料金形態や暫定二車線の問題は残るわけで、特に全区間が開通すればこれまで東北自動車道を利用していた車の流入なども考えられることから、この辺りの懸念材料にどう対処していくかは、これかの課題と言った感じでしょうね。
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